

多様な生物の中の一員として
生物多様性と私たちの暮らしはどうつながっているの?
生物多様性とは、地域に固有の自然があり、それぞれに特有の生物がいること、そして、それぞれがつながっている状態のことをいいます。
私たちの暮らしは、食料や水の供給、気候の安定等、多様な種が関わりあいながら形成する自然が生みだすさまざまな恵み「生態系サービス」によって支えられています。
生態系サービスは人間の生存と良質な生活に欠かせません。また、これらの生物は一つひとつに個性があり、かけがえのない価値を持っています。

生物多様性って、どういうこと?
生物多様性条約では、生態系の多様性・種の多様性・遺伝子の多様性という3つのレベルで多様性があるとしています。この3つのレベルの多様性が守られることで、豊かな生物多様性が成立し、わたしたちは自然の恵みを受け続けるためことができます。

過去100年で、地球上の種の絶滅速度が1000倍以上に上がっているとされています。生物を絶滅の危機に追いやる原因には、様々なものがあります。大阪府内でも、レッドリスト掲載種数は、2000年から2014年の間に、約2倍に増加しています。
自然の恵みの暮らしは当たり前じゃない!?
今、生物多様性は大きく分けて4種類の危機に脅かされています。 大阪の暮らしや文化と相互につながり合う生物多様性を未来に引継ぐため、危機を乗り越えていく必要があります。

国や大阪府は生物多様性向上に向けて、どんなことをしているの?
大阪府では2022年3月に「大阪府生物多様性地域戦略」を策定しました。 また、国においても2023年3月に「生物多様性国家戦略2023-2030」が閣議決定されています。ここでは、それぞれの戦略の概要と方針を紹介します。
2030年のネイチャーポジティブ(自然再興)の実現を目指し、地球の持続可能性の土台であり人間の安全保障の根幹である生物多様性・自然資本を守り活用するための戦略です。
生物多様性損失と気候危機の「2つの危機」への統合的対応、ネイチャーポジティブ実現に向けた社会の根本的変革を強調しています。また、30by30目標の達成等の取組により健全な生態系を確保し、自然の恵みの維持回復をめざします。
「2030大阪府環境総合計画」で示す2030年の実現すべき姿『いのち輝くSDGs未来都市・大阪』を目指し、その実現に向けた環境施策の1つとして、『全てのいのちの共生』を掲げており、その具体的な施策を推進するため、生物多様性基本法第13条の規定に基づき策定した戦略です。
生物多様性に関連するキーワード
近年、国内外、企業も含めて、生物多様性に関心が高まっています。ここでは、生物多様性に関連するキーワードをご紹介します。
2030年までに陸と海の30%以上を健全な生態系として効果的に保全しようとする目標です。2022年に採択された「昆明・モントリオール生物多様性枠組」2030年グローバルターゲットの1つです。
保護地域以外で生物多様性保全に資する地域のこと。30by30目標は、国立公園などの保護地域の拡張と管理の質の向上だけでなく、OECMの設定・管理を通して達成します。目標達成に向けて、国の取組推進に加え、日本経済団体連合会など企業や各種協会や研究機関、NPOなどの民間の参加と取組等によって活動が広がっています。
従来の3Rの取組に加え、資源(製品や部品等を含む)を循環利用し続け、新たな資源投入量・消費量を抑えつつ、ストックを有効活用しながら、サービス化等を通じて新たな付加価値を生み出し続けようとする経済社会システムで、気候変動対策、生物多様性の保全と並んで、行動を強化すべき分野として位置づけられるなど、国際社会共通の課題となっています。
また、新たな天然資源の投入量・消費量の抑制を図ることは、資源の採取・生産時等における生物多様性や大気、水、土壌などの保全、自然環境への影響を低減するという観点からも重要です。
TNFDとは「Taskforce on Nature-related Financial Disclosures」の略で、日本語に訳すと「自然関連財務情報開示タスクフォース」です。このタスクフォースでは、企業・団体が自身の経済活動による自然環境や生物多様性への影響を評価し、情報開示する枠組みの構築を目指しています。
自然と社会の相互作用を依存、影響、リスク、機会の指標をもとにして分析し、その結果を開示していくのがTNFDの枠組みです。
世界の共通目標として、「1.5℃目標」が掲げられています。これは、産業革命以前に比べて世界の平均気温の上昇を産業革命以前に比べて2℃より十分低く保ち、1.5℃に抑える努力をするという目標です。1.5℃を超えると、温暖化が連鎖的におき、気温上昇は抑えられなくなると言われています。1.5℃~2.5℃以上高くなると、動植物種の約20~30%で絶滅リスクが増加する可能性が高いと予測されています。
IPCC第6次評価報告書によると、「1.5℃目標」を実現するためには、遅くとも2025年までに世界全体の温室効果ガスの排出量を減少傾向に転じさせ、2050年までに二酸化炭素(CO₂)排出量のネットゼロを達成することが必要となります。現時点(2024年)で、各国が掲げている2030年の削減目標が達成されたとしても、1.5℃目標達成には大きく及ばないと言われています。世界各国はできるだけ早く、できるだけ大きく排出量を減らす取組を加速的に進めることが重要です。
参考:1.5℃ライフスタイル|公益財団法人 地球環境戦略研究機関(IGES)