【虫は、近くで暮らしている】

スズメバチやアシナガバチは毒針を持っている。巣に近づくと攻撃される。蜂には気をつけよう。縞模様の黄色と黒色そしてくびれた形から蜂と判断する。その蜂に似せる者たちがいる。アブの仲間だけでなく、蛾やカミキリムシなのだ。

なぜ、その形に似せているのだろう。蜂は、人間だけでなく”蜂に違いない”と思っている者がいるのではないか。蜂は、苦手と思って、よける、避ける、遠ざかってくれたら、ありがたい。私たちは、それを擬態というが、昆虫たちは擬態するのは、その効果を利用しているのではないか。

人間は、他の生き物より、知恵がある、賢いと思っているが、生き延びる知恵なら、人間以外でも進化させている昆虫たちがいる。相手が何を考えていることまで、憶測できないが、蜂ではないかと思わせる作戦。そして、そうかもと思わせる。生き物は、多くのつながりの中で、生き延びてきた。それが、真似していると言われようとかまわない。人間は、見た形だけでなく、言葉や表情そしてコミュニケーションから敵かも、味方かもと推測する。

アメリカに住んでいるホタルの仲間で、発光の合図を真似て、おびき寄せ、食べてしまうホタルがいるのだから、擬態というのは、色・形だけではないことが分かる。ジャコウアゲハは毒を持っており、その動きを真似ているチョウがいるとか。


人間だけが、人をだます高等技術を持っているのではない。騙し、騙されるが、騙すためには、その見本がいる。蜂を真似するには、毒針を持った蜂はいつごろ進化したのだろう。昆虫は、雑草などちょっとした場所でも注意してみたら、見つけることができる。葉をかじった痕、花が咲いているところなど、自然が良いと言うが、足元を見て欲しい。植物と昆虫はどんな暮らしをしているのだろう。虫が見つからないとあきらめず、一度見つけたら、見つけやすくなる。ちょっと近づいて見て欲しい。

kurubi 似顔絵
昆虫科学教育館 館長
久留飛 克明

大阪府保健所で環境衛生を担当し、ハチやダニなど害虫対策の指導や同定を行ってきた。2001年から2017年まで大阪府営箕面公園昆虫館館長を務め、虫嫌いになるのはなぜなのか、自然に対する気づきの大切さをテレビ・ラジオなど積極的に発信してきた。今は博物館などや地域の子供たちに、昆虫を通して、考えるきっかけ作りに取り組んでいる。

著書『家の中のすごい生きもの図鑑』では、私たちの身近に暮らす小さな生きものたちの世界をわかりやすく紹介。本コラムでは、日常のすぐそばにいる生きものたちの不思議や魅力を、楽しく分かりやすく解説いただく。

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