カブトムシの魅力

カブトムシのオスは角を持っている。角が無いとカブトムシでないと思っている子供がいるぐらい人気がある。

クヌギなどの樹液が出ているところに集まる昆虫たち、そこで、たくさん樹液が出ているところにカブトムシたちは陣取っている。力が強く、大きな角で、良いところを独占している。それは、オスとメスが出会う場所でもある。

雑木林の中でも、樹液が出ている木は少ない。樹液は、樹皮を傷つけても、すぐに止まってしまい、出続けることはない。修復する力があるので、簡単には樹液にありつけない。しかし、ボクトウガの蛾の幼虫は、木に潜って傷つけ、樹液を出し続け、集まる昆虫たちを捕まえて食べる。樹液に引き寄せられた昆虫たちにとって、餌にありつけるが、食べられる危険もある場所でもある。

一方、クヌギは、葉でタンニンを作り、樹皮に運び簡単には齧られないよう防御をしている。なので、クヌギから出る樹液がある場所はとても魅力的なのだ。

しかし、最近、庭木に植えられたシマトネリコの木に、カブトムシがたくさん集まっていると報告が増えている。クヌギのような甘い樹液でもないのに、たくさん集まり、樹皮を破り、勝手に樹液を吸っているというのだ。

木のあちこちにいるカブトムシは、オスもメスも争うことをしないで、夢中でしがみついているところを観察されている。

このシマトネリコは、亜熱帯原産なので、関東から北では冬を越えられないが、病害虫に強く、繁殖力もある人気の木として庭や公園で増えているという。

街に植えられているだけならいいが、カブトムシが住んでいる場所に広がると、カブトムシには、クヌギのように樹液の場所を独占することもなく、穏やかに暮らせるのではないか、ひょっとしたら、争うためのその角、だんだんと使う場面が減ってしまい、角があっても使う必要が無くなるのではないだろうか?

角のないカブトムシは、人気が無くなる、それもいいかも。

kurubi 似顔絵
昆虫科学教育館 館長
久留飛 克明

大阪府保健所で環境衛生を担当し、ハチやダニなど害虫対策の指導や同定を行ってきた。2001年から2017年まで大阪府営箕面公園昆虫館館長を務め、虫嫌いになるのはなぜなのか、自然に対する気づきの大切さをテレビ・ラジオなど積極的に発信してきた。今は博物館などや地域の子供たちに、昆虫を通して、考えるきっかけ作りに取り組んでいる。

著書『家の中のすごい生きもの図鑑』では、私たちの身近に暮らす小さな生きものたちの世界をわかりやすく紹介。本コラムでは、日常のすぐそばにいる生きものたちの不思議や魅力を、楽しく分かりやすく解説いただく。

カテゴリー: